塗装できない屋根!?屋根塗装できない屋根材とは
2025年05月16日
「そろそろ屋根の塗装をしようかな…」
築10年以上が経ち、色あせや汚れが気になってきた屋根を見上げながら、そう考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ業者に相談してみると——「申し訳ありません、この屋根材は塗装できないんです」と予想外の返答。
「え? 屋根って全部、塗装できるんじゃないの!?」
そんな疑問や戸惑いの声を、私たちはたくさん耳にします。
実は屋根材の中には、「塗装しても意味がない」「むしろ塗装すると逆効果になる」ものが存在します。
特に注意したいのが、2000年前後から多く使われてきた“ノンアスベスト屋根材”。
一見するとごく普通のスレート屋根に見えますが、実はこのノンアスベスト屋根材こそが、現在多くのトラブルを引き起こしている原因のひとつなんです。
そんな「塗装できない屋根材」の正体や、ノンアスベスト屋根材の特徴・注意点について、塗装専門店の視点からわかりやすく解説していきます。
これから屋根塗装を検討している方、すでに見積もりを取っている方も、ぜひ読んで損はありません
ノンアスベスト屋根材(無石綿スレート)は、社会的な事情と法規制の影響で急速に普及した製品ですが、その背景にはかなり深い流れがあります。以下、わかりやすく整理してお伝えしますね。
■ 1. そもそも「アスベスト入り屋根材」とは?

昔の屋根材(スレート瓦など)にはアスベスト(石綿)が使われていました。
理由はシンプル:
• 繊維状で軽く、強く、熱に強い
• コストが安く、成形もしやすい
• 防火性能が高く、耐久性も抜群
つまり「屋根材にはもってこいの素材」だったわけです。
■ 2. アスベストが禁止された理由
ところが…
• アスベストは吸い込むと肺がんや中皮腫の原因になる非常に危険な物質
• 工場作業者や解体業者の健康被害が次々と報告される
これにより、日本でも次第に規制が始まり、
• 2004年:建材に使うことを段階的に禁止
• 2006年:アスベスト含有建材は原則全面禁止

■ 3. ノンアスベスト屋根材の急増(1990年代後半〜)
アスベストが使えなくなったことで、メーカー各社はアスベストに代わる素材を探しました。
▼ 代替素材として使われたのが:
• パルプ(紙繊維)
• 樹脂繊維
• ガラス繊維
これらをセメントや無機成分と混ぜてスレート板を形成し、アスベストの代替としたのが「ノンアスベストスレート」です。
■ 4. ノンアスベスト屋根材の“落とし穴”
メーカーはアスベスト禁止に対応するため、短期間で代替品を大量開発。しかし…
• アスベストに比べて繊維の強度や耐久性が低い
• 防水性・耐候性も不十分
• 長期テストや実証データが不十分なまま市場に出た
その結果:
• 割れる

• 反る

• 層が剥がれる(層間剥離)

• 塗装してもすぐ剥がれる

などの重大な問題が多発しました。
■ 5. 代表的なノンアスベスト屋根材(不具合あり)
メーカー | 商品名 | 製造年 | 特徴・問題点 |
クボタ(現ケイミュー) | コロニアルNEO![]() | 2001年〜2008年 | 強度不足。ひび割れや層間剥離が多く、塗装してもすぐ劣化。張り替え推奨。 |
ニチハ | パミール![]() | 1996年〜2008年 | 層間剥離(ミルフィーユ状にめくれる)。塗装不可。張り替え必須。 |
松下電工(現パナソニック) | レサス | 1999年〜2006年 | 強度劣化・反り・層間剥離が多く、塗膜が定着しない。 |
旧セキスイ瓦(積水屋根システム) | かわらU(初期) | 1980年代〜1990年代 | 表面が脆く、塗装しても剥がれやすい。現在はリフォーム用の商品に切替済み。 |
東洋スレート | アーバニーグラッサ | 不明(2000年代) | 割れやすく塗装不良が多いと報告あり。事前診断が必要。 |
■ 6. 現在のノンアスベスト屋根材はどうなの?
現在(2020年代以降)は、技術改良により以下のような高品質なノンアスベスト製品が登場しています。
• ケイミュー:コロニアルグラッサ、グラッサシリーズ
• ニチハ:横暖ルーフシリーズ(金属系)

• IG工業:スーパーガルテクト(金属系)

これらはアスベストを使わずに、耐久性・防水性・美観が大きく向上しており、安心して使える製品となっています。
■ まとめ
項目 | 内容 |
なぜ広まった? | アスベストの使用が禁止され、代替製品として一気に普及 |
どう作った? | セメントに紙やガラス繊維などを混ぜてスレートを形成 |
どんな問題が? | 割れ・剥がれ・反りなど不具合が多発(2000年代前半製品) |
今は? | 改良され、信頼できるノンアスベスト屋根材が主流に |
ノンアスベストの屋根は、いつ作られたかがとても重要です。
もし2000年代前半の製品であれば、塗装ではなく屋根材の張り替えやカバー工法を検討する方が安全です。
屋根診断・屋根材見分け方チェックリストと、張り替え/カバー工法の違いや選び方を詳しく・分かりやすくまとめました!
【1】屋根診断・見分け方チェックリスト(セルフチェック用)
チェック項目 | 確認方法 | 注意ポイント |
屋根の築年数 | 建築図面・住宅履歴・不動産契約書で確認 | 2000〜2008年築は要注意ゾーン |
屋根材の商品名 | 建築図面・仕様書・施工会社に問い合わせ | 「パミール」「NEO」などが書かれていたら要注意 |
屋根の見た目(地上から) | 割れ・反り・色褪せの有無 | 雨染み・コケ・ムラがあれば劣化進行のサイン |
表面が層になって剥がれているか | 高所カメラや業者調査 | 層間剥離(ミルフィーユ状)があると塗装不可 |
踏むと“ベコッ”とへこむ感じ | 点検時に業者が確認 | 材質の劣化、強度不足。塗装しても持たない状態 |
軒先(屋根の端)の割れや欠け | 地上からでも見える | 劣化の初期症状が出やすい場所 |


→ 3項目以上該当すれば、要プロ診断&塗装NGの可能性大です。
【2】「カバー工法」と「張り替え工事」の違いと解説
◎共通点:
• 塗装できない屋根を新しい屋根に生まれ変わらせる工法
• 耐久性・防水性・美観すべて大幅UP!
【A】カバー工法(重ね葺き)


項目 | 内容 |
方法 | 既存の屋根材の上から、新しい屋根材(主にガルバリウム)を重ねる工法 |
工期 | 約5〜7日 |
費用相場 | 約90〜150万円(一般的な戸建て) |
メリット | 既存の屋根を撤去しないため、工期短く・費用も安め/断熱性UP |
デメリット | 屋根が重くなる(元の屋根が瓦などの場合は注意)/2回目は不可(上に重ねるのは一度まで) |
適したケース | パミール・コロニアルNEOなど、劣化してるが下地が傷んでいない場合に最適 |
【B】葺き替え工事(張り替え)

項目 | 内容 |
方法 | 既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する工法 |
工期 | 約7〜10日 |
費用相場 | 約120〜200万円(一般的な戸建て) |
メリット | 下地(野地板、防水シート)まですべて新しくなるため超安心/屋根の重さ調整も可能 |
デメリット | 費用が高め/撤去廃材が出る/工期が長め |
適したケース | 屋根材だけでなく下地も劣化している場合/雨漏りしている家など |
【3】どちらを選べばいいの?
状態 | おすすめ工法 |
屋根材は劣化してるが下地は大丈夫そう | → カバー工法が経済的&早い! |
雨漏りしてる/屋根下地が腐っている | → 張り替え工事で根本から解決! |
将来のために屋根の軽量化もしたい | → 張り替えでガルバにチェンジすると耐震性UP |
【4】まとめ
• ノンアスベスト屋根は、築年数・商品名・劣化状態で診断が必要
• 塗装できない場合は、カバー工法か葺き替えを選択
• 状態・予算・将来設計に応じた施工がベスト!
ノンアスベスト屋根材は、適切な対処をしないと塗装がすぐに剥がれたり、かえって屋根の劣化を早めてしまうリスクがあります。
見た目では判断しにくく、気づかずに塗装してしまうケースも多いため、まずは屋根材の種類や劣化状況を正確に把握することが大切です。
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