《外壁塗装のススメ》住まいの美観と耐久性を守る大切なメンテナンス
2025年06月13日
マンションの管理において、外壁塗装はただの「見た目の修繕」ではありません
管理組合が担うべき重要な役割の一つであり、住民の安全と資産価値を守るための”計画的メンテナンス“です
なぜ外壁塗装が重要なのか
マンションの外壁は、日々、紫外線や雨風、排気ガスなどといった過酷な環境にさらされ続けています
塗膜が劣化すると、防水性能が失われ、ひび割れや漏水、鉄部のサビなどが発生
これが構造体にダメージを与えると、補修費用が跳ね上がり、大規模な改修を迫られることもあります
また、外観の美しさは物件の資産価値に直結します
将来的な売却・賃貸の際にも、きれいな外観は大きなアドバンテージになります
劣化の兆候、見逃していませんか?
管理組合としては、以下の劣化サインに注意を払う必要があります
タイルの浮き・剥がれ

【要注意度:★★★★★】
・壁面を軽く叩くと中が空洞のような音(コンコンと響く音)
・肉眼で見て目地に隙間がある、またはタイルが傾いている
・実際にタイルが剥がれて落下している
▶浮きが進行すると、剥落事故(落下)にもつながる非常に危険な状態です
人身事故にも直結するため、早期補修が絶対に必要です
目地(モルタルやコーキング)の劣化

【要注意度:★★★★☆】
・目地部分にひび割れや欠け
・コーキング材の硬化,ひび,剥がれ
・目地から黒ずみ(カビ,雨染み)
▶タイルの下に水が回ると、接着力が落ち、浮きや剥がれの原因になります
雨水の浸入から建物内部の劣化につながるリスクも
白華現象(エフロレッセンス)

【要注意度:★★★☆☆】
・タイル表面や目地に白い粉や結晶状の汚れ
▶コンクリート内部の成分が雨水で溶け出し、タイル表面に白く浮き出る現象
構造的な劣化ではないこともありますが、水の浸入があるサインとして注意が必要です
クラック(ひび)の発生

【要注意度:★★★☆☆】
・タイルそのものに細かいひび(特に角や端部)
・コンクリート下地に起因する縦横に走るクラック
▶下地のコンクリートの動きや膨張・収縮により、タイルに応力がかかって割れることがあります
漏水や剥落の予兆になることも
カビ・コケ・黒ずみの発生

【要注意度:★★☆☆☆】
・日陰や北側の外壁に多い
・表面の水切れが悪い部分に緑色や黒色の汚れ
▶美観だけでなく、防水性が低下している可能性があります
クリーニングと塗膜保護(撥水材塗布など)が検討されます
こうした兆候は、次回の大規模修繕工事のタイミングや予算検討の重要な判断材料になります
大規模修繕計画とリンクさせた進行を
マンションでは通常、「長期修繕計画」に基づいて外壁塗装を含む大規模修繕が10~15年ごとに実施されます
計画通りに実行することは、居住者の資産保全・安全安心の確保に加え、突発的なトラブルによる余計な出費を防ぐ効果もあります
管理組合としては、早めに専門業者に劣化診断を依頼し、見積もりや施工内容の比較検討を行うことが大切です
居住者との合意形成も重要なプロセス
外壁塗装は高額な工事であり、居住者にとっては「共用部分の投資」になります
色や仕様の変更、仮設足場による騒音や視界への影響など、住民の関心や不安が集まりやすいポイントでもあります
そのためには:
・定期的な説明会の開催
・資料の配布(劣化状況・塗料の種類・工事スケジュール等)
・意見収集の場の設置
といった丁寧な情報共有が信頼関係を築く鍵になります
まとめ:適切な外壁塗装は”管理組合の責任”
マンションの外壁塗装は、住民一人ひとりの快適な生活を守り、建物全体の資産価値を維持するための「投資」です
管理組合のリーダーシップと住民の理解があってこそ、スムーズで有意義なメンテナンスが実現します
国土交通省の調査によると、築20年を超えるタイル外壁のマンションでは、3棟に1棟でタイル浮きが発生しているというデータもあります
タイルは見た目以上に重く、落下すれば重大事故につながる恐れがあります
「まだ大丈夫」ではなく、「次に備える」視点を
未来の安心のために、今こそ外壁塗装を計画的に見直してはいかがでしょうか